012ホモさんに犯されそうになった夜
(「000東大パパ」から続けて読んだ方が楽しめます)
私は大学時代に、東大中から業の深い人を選りすぐって集めたサークルで会長をしていました。ゲイのメンバーもいて、みんなから「ホモさん」とそのまんまのニックネームで呼ばれていました。
ホモさんは私たちの前でだけカミングアウトしていて、それはそれは生き生きとホモ話を語っていました。
薔薇族というホモ雑誌が昔は珍しい判型だったので、地方の実家住まいの高校生時代はゴミに出す時に目立って非常に困ったとか。
中学時代に音楽室で好きな男の子とふたりっきりになって初めてキスをした思い出とか。
私が弟と二人で広めの部屋に暮らしていたこともあり、会長である私の部屋はみんなのたまり場となっていました。麻雀や桃鉄で遊びながら、ホモさんのホモ話をはじめ、人間の業にまみれた自分たちのおもしろエピソードを語り明かすという、それはそれは楽しい空間でした。
事件が起こったのは、いつものように我が家にみんなで集まって遊んでいた夜のことでした。
翌朝バイトのシフトが入っていた私は、一足先に二段ベッドのある別室に引っ込んで、上の段で寝ていたのでした。
しばらくして、何か異様な気配を感じました。目を開けてみると、ベッドの柵に頬杖をついて私の寝顔を見つめるホモさんの顔が目の前に!
「ねぇ、いいでしょ♪」
「いや!無理!」
「ちょっとだけ、ほら、試しにさ♪」
「無理だって!」
「いいじゃん、1回試してみようよ!」
「無理無理無理!いや、本当にダメだって!」
二段ベッドのハシゴを上ってこようとするホモさんと、それを押し戻そうとする私の攻防が5分ほど続きました。
「本当にちょっとだけだからさ!」
「絶対無理だって!本気で無理!男はあり得ない!」
「もう!東の意気地なし!」
ということで、何とかホモさんを諦めさせることができたのでした。
こんなに業にまみれたエピソードが発生してしまったからには、メンバーみんなでおもしろがるしかありません。私はすぐに起き出して、みんなが遊んでいる方の部屋に行ったのでした。もちろん、ホモさんも一緒です。
「今さ!ホモさんに犯されそうになっちゃったよ!」
「東は本当に意気地なしだよね。才能が無いね。ちょっと触ってみたときの反応で落とせるノン気(※ホモっ気が無い人の意味)がだいたい分かるんだけど、東はダメだね。」
「もうね、いくら俺がいい男だからって、惚れられちゃ困るんだよね。」
なんて感じで、ホモさんがいかに私を情熱的に求めてきたかという話で、しばらく盛り上がっていたのでした。
「いやぁ、本当に、無駄にモテちゃってモテちゃって困るよねぇ〜。ある意味、ホモにモテるって本当にいい男ってことだよね!」
と私が調子に乗ってしゃべっていたその時です。
ホモさんの一言でオチがついたのでした。
「ちょっと一回抱こうとしたくらいで、好きになったと思われたら困るんだけど!」
いやはや、私の業もホモさんの業も際立たせる、実に見事な一言でした。
(「013エメラルドグリーンのおじさんの恋」につづく)
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