« レゴのパーツを探して使う | トップページ | 君が結婚するときに贈る言葉 »

2010年6月19日 (土)

015東大にうっかり不合格でどうしよう

「000東大パパ」から続けて読んだ方が楽しめます)

合格発表を見るために、ぜひ東大生誕生の瞬間に立ち会いたいというエメラルドグリーンのおじさんと、前山君という同級生との三人で東大の本郷キャンパスに向かいました。

前山君はしばらく前から、私と弟の部屋に泊まりに来ていました。前山君は中学受験の塾時代から中高とずっといっしょで、東大文三を受験しました。

合格発表の前夜、いつもは弟が寝ている二段ベッドの下段に前山君が寝ていました。

「なあ、東、まだ起きてる?」

「起きてるよ。」

「自信ある?」

「もちろん。」

「俺、無いんだ。」

「…。俺は、ある。」

「明日なんだけどさ、合格している可能性は東の方が高いと思うんだよね。」

「…。正直、悪いけど、俺もそう思う。」

「だからさ、まず俺の文三の方から見に行こうぜ。なんか、東が合格したのを見た後に自分が落ちているのを確認するのってさ…。」

「分かった。前山の結果を見て、その後、俺が合格しているのを確認しに行こうぜ。もし、お前がダメだったら、お前だけ先に帰っちゃってもいいし。」

「うん。もしダメだったら、そうさせてもらうかもしれない。自分が落ちたら、お前の合格を祝福してやる余裕無いかも。ゴメンな。」

「いいよ。」

「…。」

「二人とも受かってたらいいな。」

「そうだな。」

というやりとりをしたのを強烈に覚えています。

そして、合格発表。本郷キャンパスに向かって歩いていくと、東大マーク入りの封筒を抱えた笑顔の人が何人も歩いてきます。合格者です。

まず、文三の合格発表掲示板にたどりついて前山君の番号を探します。

ありました。

前山君はめちゃめちゃ喜びました。私も心から祝福しました。これで自分の合格を気兼ねなく祝えます。

後はみんなで、私の合格を確認するだけです。

文一の合格発表掲示板で私の番号を探します。

ありません。

脇に立っている別の小さな掲示板を探しました。

私の番号がありました。

後期試験の一次合格者掲示板の方に…。

後期試験というのは、分かりやすく言うと敗者復活戦で、前期試験で落ちた人でも、もう一度、全く違った形式の二次試験を受けることが出来るのです。

ただし、東大文一の後期試験は、センター試験で相当高い点数を取っていないと、いわゆる足切りにあってしまって、二次試験を受けることすら出来ないのです。

私は、前期試験は落ちてしまったものの、後期の二次試験を受ける資格は得たという、首の皮一枚残った状況になったのでした。後期試験まで1週間ほどしかありません。

「東…。えっと…。俺、合格者の手続きに行ってくるね。」

「うん。ごめん。俺は先に帰ってるよ。」

前山君とエメラルドグリーンのおじさんと別れ、私は部屋に帰り、自宅と母校に結果を報告します。母校からは母校初の東大文一後期合格者になるよう激励を受けました。

コタツにもぐりこんで、放心状態でぼーっとしていると、前山君が帰ってきました。

「おかえり。本当におめでとう。」

「ありがとう。…。あのさ、東大の後期試験の過去問集とか持ってる?」

「いや、全く想定していなかったから、見たことすらない。」

「じゃあ、これ。俺は要らなくなったから、よかったら使って。」

「あ、助かる!」

初めて見る後期試験の過去問集をぺらぺらめくっているうちに、私のポジティブスイッチが入りました。

「へぇー、こんな問題が出るんだね。これならいけるかも!」

「うん、国語がめちゃめちゃ得意な東なら、絶対いけると思うよ!」

東大文一の後期試験は、小論文と英語の長文読解です。残された一週間で過去問集を一通り解いてみました。小論文対策なんてしたことありませんでしたが、国語はずば抜けて得意だったので時間内に何かしら作文できるようにはなりました。

後期試験本番の時には、いつも通り自信満々の私が出来上がっていました。

試験では、それなりの手応えがありました。

そして、後期試験の合格発表。今度はエメラルドグリーンのおじさんと二人で見に行きました。

合格でした。

私が歓声をあげると、アメフト部のみなさんが集まってきて、恒例の胴上げをしてくれたのでした。

エメラルドグリーンのおじさんは、自分の甥っ子は大したもんだと、東大生誕生の瞬間に立ち会えた喜びに浸っていました。

「おじちゃんは、入学式にも着いていっていいよな?」

「もちろん!家族は二人まで着いてきていいらしいから、じいちゃんとおじちゃんと三人で武道館に行こう!」

「本当におめでとう!よし!今から赤坂にすし食いに行こう!」

「お金あるの?」

「大丈夫!お前の東大合格を祝ってやったって言ったら、おふくろが余計に金を送ってくれるに決まってる!」

そんなこんなで、東大生になった私と、定時制高校生になった弟との、東京での生活が始まったのでした。

そういえば、弟も編入試験があったものの、

「次の英語の意味を書け。
No Smoking.」

といった感じの問題だったので、無事に合格できたそうです。

「016セレブな紅茶の飲み方」につづく)

にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ←クリックしていただけると更新の励みになります

|

Check このエントリーをはてなブックマークに追加

業の深い人々」カテゴリの記事

お気軽にコメント下さい



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/523402/48668269

この記事へのトラックバック一覧です:

« レゴのパーツを探して使う | トップページ | 君が結婚するときに贈る言葉 »

 

HOME どんなブログ? 反響の大きかった記事 メール RSS

Copyright 2011 Daisuke Azuma All Rights Reserved.