子どもと風呂に入ろうと全裸になったところで、敬老の日の儀式を済ませていないことに気付きました。
全裸のまま居間に戻り、私の実家に電話です。
「もしもし!大助です。敬老の日だから孫の声聞かせるね。ほら、だいくん!」
だいくんの耳に携帯を押しつけます。
「ほら、おばあちゃんにお話しして!」と促すと、だいくんが適当にしゃべり始めました。
「もしもし。きゅーきゅーしゃ!うんうん。パトカー!うん。しょーぼーしゃ!バイバイ!」
なぜかはたらくクルマを連呼していました。2歳児の敬老の日の儀式としては十分です。続いてきょーちゃん。
携帯を受け取ったものの、私の母には大してなついていないので、もじもじするばかりのきょーちゃん。
「ほら、きょーちゃん、長生きしてねって言うんだよ。」と促します。
「おばーちゃん、ながいきしてね。バイバイ!」と言って役目を終えたきょーちゃん。
私に電話を返すと、開放感でテンションが上がったきょーちゃんは、
「おとうさん!おちんちん丸出しで電話しててヘンだよ!アハハ!」と大騒ぎ。
「そういうわけで、まぁ元気にやってるけど、そっちはどう?」などと私が電話している横で、きょーちゃんが延々と「おちんちん」を連呼して、母と気まずい感じになったのでした。パンツくらい履き直してから電話すればよかったです。
そんなこんなで妻の実家の方にも電話し終えて、きょーちゃんをお風呂に入れていると、
「おとうさん、ながいきって何?」
きょーちゃんは長生きの意味を分かっていませんでした。
ひいおじいちゃんの死や飼っていたスズムシの死と触れたことによって、死の概念はそれなりにあるきょーちゃんです。なので、
「長生きとは死ぬまでに残された時間が長いこと」
「大好きな人が早く死んだら悲しい。だから長生きしてねとお願いするのだ」
「年をとればとる程、どうしても死ぬ時が近づいてくる。だから、おじいちゃんおばあちゃんを大切にする敬老の日は、年をとっているおじいちゃんやおばあちゃんに長生きしてねと言うのだ」
というようなことを説明しても、やっぱりすっきりしない様子のきょーちゃん。
そろそろ100数えて風呂からあがる頃合いだったので、私はふと思いついたのでした。
「じゃあ、いつものように数えるよ。1。2。2歳はだいくんだね。3。4。4歳はきょーちゃんだね。5。6。6歳は近所のハヤト君だね。」
「えっとね!5は、5歳は幼稚園のメグミちゃんだよ。もう5歳になったんだよ。」きょーちゃんも私の意図を理解してくれたようです。
「7。8。9。10。……」
30台で私と妻が登場すると、ほっとした様子のきょーちゃん。
50台で妻の母親が登場すると、
「やっとおばあちゃん!?ねぇねぇおじいちゃんは?」と不安そうなきょーちゃん。
60台で妻の父親と私の両親が登場すると、きょーちゃんは感慨深げ。そして、数は続いていきます。
「……90。91。92。92歳で大おじいちゃんがこの前死んじゃったね。92歳は長生きだったんだよ。お父さんは、そんなには生きられないかな。75歳くらいまでかな。じゃあ、続けるよ。93。94。95。……100!」
年を重ねることが死への一里塚であることを実感したきょーちゃんは、
「きょーちゃんも長生きしたいな…。100歳まで生きたいな。あれ、でも、きょーちゃんよりだいくんの方がちっちゃいから、だいくんの方がいっぱい生きるってこと?」
なかなか鋭い指摘です。なので、きちんと応じました。
「いや、普通は男の子より女の子の方が長生きするから、きょーちゃんの方がいっぱい生きるかもね。」
「なんで、女の子の方が長生きするの?」
もっともな質問です。なので、一生懸命答えをひねり出そうとしたのですが…
「うーん、男の子はおちんちんが余計についている分だけ長生きできないのかな…。いや、ゴメン、やっぱり分からない。また今度、調べてみようね。」
おちんちんの分だけ男が短命なのは真理だと思うんですけどね…。
長生きとおちんちんで更けてゆく敬老の日の夜でした。
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